前立腺が肥大しても前立腺癌の確率は上がらないという研究

2021年8月25日（ヘルスディニュース）-前立腺肥大から前立腺癌につながるのでしょうか。

その状況はほど遠いと、新しい研究は示しています。

良性前立腺肥大症（BPH）とも呼ばれるこの疾患は、実際には、男性が前立腺癌を発症するのをある程度防ぐ可能性があると研究者らは報告しています。

「この疾患のある男性は前立腺癌を心配するということがよくあります。これは男性で2番目に多い癌であり、BPHが前立腺癌のリスクを高めることを懸念する人もいます。」

と主任研究員のキラン・ナンダルー博士は述べています。

彼はミシガン州のロイヤルオークにあるボーモント病院の医師で、放射線診断および分子イメージングの副主任を務めています。

「以前のいくつかの研究では、遺伝、ホルモン、炎症といった一般的な原因により、BPHが癌のリスクを高める可能性があることが示されています。しかし実際にはBPHは前立腺癌の可能性を減らす可能性があるのです。私たちの研究により彼らの不安は軽減されるはずです。」

とナンダルー博士は述べました。

BPHは高齢の男性によく見られ、頻尿になったり、夜間に尿意を催したり、尿の流れが悪くなったりすることがあります。

これは、前立腺の中央部分が肥大するために、膀胱からの尿の排出が妨げられる可能性があるためです。

前立腺が肥大し続けると、前立腺がんの可能性は低下するということは驚きだとナンダルー博士は説明しました。

「さらに、BPHは、一部の癌のみならず、複数の部位の発がん確率を低下させます。

私たちの発見に基づくと、BPHは腺全体に機械的な圧力をかけている可能性があり、これにより癌の増殖が抑制され、前立腺癌の可能性が低下します。」

と彼は追加しました。

この研究のために、ナンダルー博士のチームは、BPHの男性405人に関するデータを収集し、前立腺組織のMRI画像を用いて前立腺がんの証拠を探しました。

研究者らは、前立腺のサイズが大きくなるにつれて、前立腺がんのリスクが低下することを発見しました。

前立腺の体積が1立方センチメートル増加するごとに前立腺がんのリスクは約3％低下したと彼らは述べています。

「BPHの中央腺のサイズは、前立腺がん患者のリスクを層別化するのに役立つ可能性があります。」

とナンダルー博士は述べました。

「現在、前立腺がん患者のリスクは、低、中、高に分類されており、中枢腺への影響については考慮されていません。将来的には、前立腺MRIで測定されたBPHの程度も、予後と治療方針の決定に役立つ可能性があります。」

フィナステリド（商品名：プロスカー）を含む5-α-レダクターゼ阻害剤と呼ばれる一般的に使用されているいくつかのBPH治療薬は、前立腺のサイズを縮小し、悪性度の高い前立腺がんのリスクを高めることがわかっているため、米国食品医薬品局の医薬品安全性に関して警告をしています。

「私たちの研究では、これらの薬で前立腺のサイズを小さくすると、腺全体の圧力が低下し、癌が増殖する可能性が潜在的にあることを説明しています。これらは、BPHの治療には非常に有用な薬剤ですが注意する必要があります。」

とナンダルー博士は述べました。

ボストンにあるハーバード大学医学部の放射線腫瘍学の教授であるアンソニー・ダミコ博士は、これらの研究結果をほんの一部と考えるべきだと述べました。

「私ならは細心の注意を払いこの課題に取り組むでしょう。」

とダミコ博士は述べました。

これらの発見は、結果としてBPHが生検で癌を見つけるのを困難にする可能性があるとダミコ博士は述べました。

「BPHでは検査針がはるかに狭い領域に進入するため、癌を見つけるのを難しくする可能性があります。そのためこの発見は面白いと思います。何か関係はあるかもしれませんが、現時点で決定的なものとは言えません。」

と彼は説明しました。

しかし、調査結果には生物学的な説明があるかもしれないと彼は述べました。

「肥大が大きい場合、それは成長因子をめぐり前立腺癌と戦っているので、前立腺癌の進行を妨げるかもしれません。」

とダミコ博士は述べました。

「それは生物学的なことが前提となり証明はされていません。」

ダミコ博士は、BPHの男性に癌がないことを確認するためにMRIと生検を行うようにアドバイスしています。

「もし前立腺肥大症であることで、臨床的に前立腺癌が重要ではないとは私は仮定しないでしょう。臨床的に深刻な疾患がないことを確認するためにはMRIと融合生検が必要です。」

と彼は述べました。

「この研究は興味深いものですが、決定的なものではありません。」

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