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JapanRx / 元乳がん患者はアスピリンを服用すべき?

元乳がん患者はアスピリンを服用すべき?

アスピリンやイブプロフェン、ナプロキセンなどの抗炎症薬は、主に炎症によって引き起こされるさまざまな種類のがんリスク減少に関連しています。
リスク減少やがんの予防に寄与する根柢のメカニズムについて、あらゆる研究が調査しています。

今年、このテーマに関する2つの研究が発表されました。
内1つの研究では、良性生検を調査した所、アスピリンを使用しても乳がんの発症や予防に何の差も表れないことが示されましたが、もう1つの研究では、アスピリンが特定の乳がん遺伝子を持つ人の役に立つ可能性が示されています。

メイヨークリニックの研究者は、1992年から2001年の間に生検を行い、クリニックで良性と判断された女性を対象に調査を行いました。
被験者は、胸の成長ががん性でないことが明らかになる前後に摂取した全ての薬について問われました。
研究者はまた、最初の結果が陰性であったにもかかわらず、後に乳がんと診断された人についても調べました。

「イブプロフェンまたはナプロキセンの使用を報告した女性の乳がんリスクは約40%減少しましたがmアスピリンの使用を報告した女性のリスクは減少しませんでした。」と、エイミー・デグニム医師は説明しています。
彼女はミネソタ州にあるメイヨークリニックで、胸の腫瘍外科医を務めています。

メイヨークリニックの研究者らは、2019年12月1日から14日にサンアントニオで開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウムで、この研究を発表しました。

以前の研究は、Cancerと呼ばれる米国がん学会のジャーナルで、2019年8月に公開されていました。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校ギリングス国際公衆衛生学部の研究者は、わずかに異なるアプローチをとりました。
彼らは、乳がん診断後のアスピリン摂取によって、各個人が有する13個の異なる遺伝子のDNAメチル化が影響を受けているかどうかを確かめようとしました。

メチル化とは、細胞死と修復の観点から後成的にDNAを変化させる化学プロセスです。
乳がんリスクとアスピリン摂取に関する以前の研究結果は明確なものではなかったため、研究者らは、様々なDNAプロファイルを調べました。

ロングアイランド乳がん研究で得られたデータを用いて、乳がん患者1,266人の分析が行われました。
BRCA1遺伝子を有していた女性、および診断前6週間にわたって週1回アスピリンを服用した女性において、全ての死亡要因が67%増加しました。
アスピリン使用者の乳がん関連の死亡リスクは、非メチル化BRCA1およびPR遺伝子を持つ人においては、22〜40%低下しました。

「今後の研究でこの調査結果の再現を試みる際は、アスピリン使用パターンを調べるためにより大規模なサンプルサイズを用い、乳がん診断後の生存における全体的な遺伝的不安定性を促進する遺伝的素因の役割を調べるためにより幅広い遺伝子を対象とする必要があります。」と、研究者らは述べています。

出典 2019年12月26日更新 Medical Daily『Can Breast Cancer Survivors Still Take Aspirin?』(2020年1月2日に利用)
https://www.medicaldaily.com/can-breast-cancer-survivors-still-take-aspirin-447605