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個人に合った治療法で糖尿病患者の癌リスクを低減

2型糖尿病とがんとの関連は複雑です。
糖尿病に罹患している人は本質的にがんを発症するリスクが高くなりますが、一部の糖尿病薬もそのリスクを増やす疑いがあります。
しかし、ウィーン医科大学の医学部IIIおよび複雑系科学学科の科学者は、個人に最適化された治療法を使用することで、これらのリスクを実質的に排除できることを実証しました。

「がんと糖尿病は、過体重、喫煙、食生活不良、運動不足、インスリン抵抗性、炎症およびホルモン変化などの共通のリスク要因を共有しており、その上、血糖値が高くコントロールされていない糖尿病が癌のリスクを高める可能性があります。」と、ウィーン医科大学のジェンダー医学と糖尿病の専門家である、アレキサンドラ カウスキーウィラー博士は説明しています。
合計約60万人のオーストリア人が糖尿病(2型糖尿病)に苦しんでいます。

ある有名な内科の医療誌に掲載された研究では、複雑系科学のセクションのステファン ターナー博士とペーター クリメック博士は、カウスキーウィラー博士とともに、標的精密薬を使用してリスクを排除できることを示しました。
また、スタチン(これは主に代謝障害のコレステロールを低下させるために使用されます)との併用療法が癌のリスクの低下と関連しており、最も一般的でもっとも広く使用されている糖尿病薬メトホルミンは一貫して癌のリスクの減少を示しています。また、インスリン感受性を高め、それによりインシュリン抵抗性を中和するために薬物治療に使用されるインスリン増感剤「ピオグリタゾン」にも適用されます。

【研究の設定】
少なくとも1回は通院した185万人のオーストリア人の統計調査が集計されました。
これらのうち約30万人が2型糖尿病を抱えていました。
この研究では合計300種類の糖尿病薬の組み合わせにより治療されました(インクレチンベースの治療薬とSGLT-2インヒビターは今回は使用していません)。

【研究の結果】
一次インスリン刺激薬(スルホニル尿素およびインスリン)は、特に男性および女性の膵臓癌、男性の肝臓癌および女性のリンパ腫の場合、インスリン阻害剤よりも有意に高い癌リスクを示し、男女ともに有意に効果がありました。
しかし、同時にスタチンを摂取すると、糖尿病以外の患者と比較して、このリスクは大幅に減少し、さらにはゼロにまで低下しました。」とカウスキーウィラー博士は述べています。

「これは、糖尿病患者の全般的な癌のリスクを大幅に軽減するために、個々の治療法を最適化することが可能であることを示しています。今日の精密医学において、私たちには幅広い選択肢があります。」

(記事元)http://medicalxpress.com/news/2016-11-personalised-therapy-cancer-diabetes-patients.html