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メトホルミンが稀な小児疾患の潜在的な治療薬に

ヒトの皮膚細胞とマウスでの研究において、汎用されている糖尿病治療薬メトホルミンは、メープルシロップ尿症において毒性酸レベルを低下させることが示されています。この発見は、18万人に1人の赤ちゃんに発生する障害の新しい治療法の可能性を伝えています。

メープルシロップ尿症(MSUD)は、ロイシン、イソロイシンおよびバリンの3つの必須アミノ酸を分解する酵素の機能不全を伴う、まれな遺伝性代謝性疾患です。
未治療のままでは、乳児は生後数週間以内にケト酸の有害な蓄積により死に至ります。
早期に診断されると通常の生活を送ることができますが、非常にコントロールされた食生活を余儀なくされます。

甘い香りの尿を特徴とした、この疾患の唯一実績のある治療法は、肝臓移植です。
Scientific Reportsで公開された内容によると、バック研究所の研究者が、汎用されている糖尿病治療薬メトホルミンが、MSUD患者からと、マウスで誘導された両方の皮膚細胞で関連した毒性酸のレベルを低下させることを示しています。
これにより18万人に1人に発生する障害の新しい治療法の可能性を提供しています。

バック研究所の教授でシニア著者であるアーバインド ラマナサン博士は、メトホルミンが患者由来の線維芽細胞で毒性ケトイソカプロン酸(KIC)のレベルを20〜50%減少させ、病気を持つように飼育したマウスの骨格筋ではKICのレベルを69%と、大幅に低下させたことを発表しました。
「我々は、これは臨床試験への明確な道があると思います。MSUDの患者を治療する医師がその方向へ向かっていくことを望んでいます。」と彼は述べました。 「新規介入の必要性は明確です。」

メタボロミクスに特化したラマナサン博士は、様々な化合物と、老化との関連で影響を与える酸素を研究しMUSDの発見にたどり着きました。
この研究では、糖尿病を制御し、おそらく動物およびヒトの両方で健康寿命の延長にメトホルミンが成功していることへの機構的説明ができます。
研究はまた、稀な小児疾患と、正常な老化との間の類似性を強調 し、一方の研究は他にも通じることができる方法を示しています。

研究者らは、MSUDで欠陥があり、また、正常な老化と活性が低下する酵素分枝α-ケト酸デヒドロゲナーゼ(BCKDH)を、研究しました。
ラマナサン博士はBCKDHの減少が肥満や糖尿病に関係していると述べています。彼はそれが、他の年齢に関連する条件の数にも関与している可能性があると考えています。

ラマナサン博士は、BCATと呼ばれるBCKDHの上流の酵素も研究しています。
彼はBCATがMUSDに関連付けられている筋脱力と萎縮を引き起こす骨格筋のミトコンドリアにおける毒性ケトンがイソロイシンおよびバリンをロイシンに変換すると述べています。
「我々は、同じプロセスが年齢に関連する筋肉減弱症や虚弱性の中で進行中である可能性があると思います。」と彼は述べました。
「興味深いことに、メトホルミンはBCATと相互作用し、メトホルミンでのMSUDマウスの治療において骨格筋における毒性酸の蓄積を減少させました。」
「これは老化研究はどの年齢の人にも大きな影響を与える可能性があるという典型的な一例です。そして研究はまた、すでにFDAによって承認さている医薬品についての研究の価値を強調しています。」と、上級共著者とバック研究所の最高経営責任者(CEO)であるブライアン・ケネディ博士は述べています。
「このケースで、我々は、この発見がこれらの知見を基礎とした、健康寿命を拡張することを目的とした更なる研究を促進し、MUSDとともに暮らす人々の助けとなることを望んでいます。」

(記事元)https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160706114414.htm