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COVID-19の影響がないように見える一領域:妊娠中の血栓リスク増加

妊娠中の女性には、心配事がたくさんあります。
しかし、研究によると、COVID-19による血栓については、心配しなくても問題無いようです。

切り傷や怪我を塞ぐための血栓は必要ですが、体内の血栓はそうではありません。
臓器や体の組織を健康に保つには、新鮮な血液が血管を通って送り出され、「使用済み」の血液が肺に戻り、酸素で洗浄される必要があります。
血栓は、次の2つの深刻な問題を引き起こします。
血流が遮断または阻害される危険な状態を引き起こす、もしくは血栓が壊れ体の別の部分に移動することで致命的な状態となります。
前者では、血液が正常に流れないことで、栄養が不足し、体の組織が壊死することで、壊疽に繋がる可能性があります。
後者では壊れた血栓の一部が心臓や肺、脳などの重要な臓器に到達し、心臓発作や肺塞栓、脳卒中を引き起こす可能性があります。


<妊娠は血液凝固に影響を与える>

妊娠中の女性は、妊娠していない女性よりもこれらの血栓のリスクが高くなります。
しかし、COVID-19によって血栓リスクが高まることはないようです。

まず、妊婦の血栓リスクた高まる説明は以下の通りです。
女性が妊娠すると、体はいくつかの方法で出産準備を始めますが、この内2つが、血栓リスクを高めます。

まず、妊娠中には血液が少し「濃く」なることで、分娩中に失われる血液量を減らします。
この過程がなければ、胎盤が子宮から離れるときに起こる出血を止めることは難しくなるでしょう。
第二に、赤ちゃんを身ごもることも、血栓の一因となり得ます。
胎児が成長するにつれ、母親の骨盤内の血管を押しつぶすことで、母親の脚から行き来する血流が制限されることがあります。
最後に、妊娠後、特に帝王切開が行われたたり、絶対安静が継続した場合、数カ月間はリスクが継続することとなります。

妊娠中の女性は、次のような他の高リスク集団にも含まれます。

  • 長時間ベッドで休んでいる、もしくは動いていない
  • 血液凝固障害がある
  • 喫煙している
  • 太りすぎている、または肥満である
 

<エストロゲンを服用する女性にもリスクがある>

研究者らはまた、妊娠を防ぐために経口避妊薬を使用したり、ホルモン補充療法(HRT)を受ける女性を調査しました。
アメリカ疫病予防センターは、避妊する米国女性の12.9%が避妊薬を使用していると述べています。
さらに、トランスジェンダーの女性の他、数千人の女性が閉経後にHRTを受けています。
薬物中のエストロゲンにより、血栓を発症するリスクが高まります。
60歳以上であることに加えて、上記のリスク集団のいずれかに属している場合、リスクはさらに上昇する可能性があります。
「ほとんどの避妊薬の主要成分であるエストロゲンは、凝固因子の血漿濃度を増加させることにより、女性が血栓を発症するリスクを増大させます。」と、アナポリスの婦人科ケア研究所で認定された婦人科医であるSusan Todd Peeler医師は、メディカル・デイリーの取材に対して語りました。
「これにより、 [血餅]の形成と血餅の分解防止のバランスが変化します。」
彼女は、避妊薬の凝固効果は、エストロゲンの量や錠剤に含まれるプロゲステロンの種類に依存すると付け加えました。


<今、研究対象はCOVID-19に>

医師や研究者は、治療する患者数が増えるにつれて、COVID-19に関する理解を深めています。
感染に関連する、重要かつ致命的となる可能性のある合併症は、血栓です。
オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターが発行した記事によると、医師は多くのCOVID-19患者の脳や心臓、肺、足に血栓を発見したといいます。
特に、COVID-19で亡くなったブロードウェイスターのニック・コルデロは、発症の早い段階で血栓を発生させ、医師が片足を切断することを余儀なくされました。
妊娠中の女性やエストロゲン服用中女性は既に高リスクであることを考えると、COVID-19に感染した場合に、そのリスクが拡大するのではないかと研究者たちは疑問に思いました。
もしそうなら、どの治療法が最善なのでしょうか?

「パンデミックの期間中、妊娠中にコロナウイルスに感染した女性が抗凝固療法を受けるべきか、あるいは避妊薬やホルモン補充療法を受けている女性がそれらを中止すべきかを判断するためには、さらなる調査が必要です。」と、研究著者の1人であるダニエル・I・スプラット医師は、内分泌学会によって発行されたプレスリリースで述べました。
スプラット医師は、ポートランドのメイン医療センター、およびボストンのタフツ大学医学部に所属しています。
「コロナウイルスが血栓を引き起こす作用秩序を理解するための研究を行うことで、その他の状況で血栓が形成される方法や、血栓を防ぐ方法に関する新たな知見が得られるかもしれません。」

著者は、不確実な部分が多いと書いているものの、妊婦がCOVID-19を発症した場合に血栓を発症するリスクが上昇することは現状確認されていないとしています。
しかし研究者は、胎盤にいくつかの異常を検出しています。


<実際の生活における影響とは?>

妊娠中の女性やホルモン剤を使用している人の血栓リスクが高まる可能性があるという懸念があったことを聞いて、ピーラー氏は驚きませんでした。
しかし彼女は、抗凝固剤(抗凝血剤)の服用を開始したり、経口避妊薬やHRTを中止したりすることは、もちろん推奨していません。
「このような患者のエストロゲン療法(HRTまたはOCP)を中止すべきであることを示す証拠は、不完全です。」と彼女は言います。

「ただし、COVID-19の診断を受けた際、患者は使用中のすべての薬剤について担当医師と話し合い、個別のアドバイスを受ける必要があります。」
COVID-19で入院している成人は、他の入院中の成人と同様に、血栓を監視し、治療する必要があると、彼女は付け加えました。
「血栓のリスクを高める可能性のある薬物療法は、入院時に中止されます。COVID-19で入院している妊娠中の患者の場合、[血栓防止に関する]推奨事項は、入院中の妊娠していない患者に対する推奨事項と同様です。」

妊娠している場合、または避妊薬やHRTを服用している場合は、COVID-19ウイルスにさらされた場合や、実際に症状が出た場合の対処法について、かかりつけの医師に相談してください。
この感染症は非常に新しいため、まだ多くの不明点があるため、あなたの状況をしる医療専門家に直接相談することが最善です。

出典 2020年8月3日更新 Medical Daily 『Making Smart Lifestyle Changes Now Could Alter AD's Risk Later』(2020年8月12日に利用)
https://www.medicaldaily.com/pregnancy-pregnant-women-covid-19-blood-clots-deep-vein-thrombosis-dvt-...