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JapanRx / COPD 「たばこ病」併発

COPD 「たばこ病」併発

たばこは呼吸器の病気だけでなく、動脈硬化などを招いて様々な生活習慣病の悪化要因となる。長年の喫煙が主な原因で肺の組織が壊れ、呼吸困難に陥る慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、がんや脳卒中、心臓病、糖尿病など他の「たばこ病」を併せ持つことも多く、注意が必要だ。  東京都新宿区の男性Aさん(68)は、還暦を機に禁煙するまで、40年間、1日2箱ずつ吸っていた。やめるしばらく前から、朝起きた時のせきやたんがひどくなり、地下鉄の階段では息切れを感じていた。  仕事中は座っていることが多く、若い頃から運動はほとんどしない。62、63歳のころ軽い高血圧や糖尿病があると診断された。肉中心の食事を改め、散歩をするよう指導されたが、仕事が忙しかったこともあり、あまり守れないでいた。  172センチ、60キロ・グラムと体形はやせ気味だが、2007年の血液検査では、中性脂肪633ミリ・グラム/デシ・リットル(基準値50~149ミリ・グラム/デシ・リットル)、血糖状態を示すヘモグロビンA1cは8・8%(同4・3~5・8%)にまで悪化。血糖値を下げる薬を飲み始めた。  Aさんの体を急変が襲ったのは昨年6月。旅行先のルーマニアで、古城に通じる急な坂道を上っていた際、息が激しく乱れ、動けなくなった。帰国後すぐ、近くの日本医大呼吸ケアクリニック(東京・市ヶ谷)を受診。所長(日本医大教授)の木田厚瑞さんに重症のCOPDと診断された。  Aさんの肺の呼吸機能は、通常の3割程度に落ちていた。両手に荷物を持って歩くとすぐ息がきれるほどの状態だ。  糖尿病や高脂血症には運動療法が欠かせないが、体を動かせなくなると、ますます病気を悪化させる。COPD患者の死亡原因で最も多いのは呼吸系によるもの(35%)だが、心筋梗塞や脳卒中など心血管の病気(27%)も次いで多い。  Aさんは呼吸症状の悪化に注意しつつ体力の低下を防ぐため、気管支を広げる薬や吸入ステロイド(副腎皮質ホルモン)治療をするとともに、自宅で酸素をチューブで鼻から吸いながら、自転車こぎやダンベルなど1時間の運動をほぼ毎日続けている。  失われた肺の機能は戻らないが、体力がついたおかげで、同じ時間に歩ける距離は初診時の2倍近くに伸びた。生活への支障も軽くなった。「また旅先で歩き回れるよう、運動をしっかり続けたい」とAさんは話す。 (2009年11月23日 読売新聞より) 情報プラス 【COPDの薬物療法】  記事中に登場するAさんは、気管支を広げて呼吸を楽にする吸入薬の「スピリーバ」(一般名チオトロピウム)、「セレベント」(同セルメテロール)、「サルタノール」(同サルブタモール)と、吸入ステロイドの「オルベスコ」(同シクレソニド)のほか、脂質異常症(高脂血症)のために、コレステロールを抑える「リピトール」(同アトルバスタチン)を使っていました。