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AIがHIV薬アタザナビルに対して脆弱なコロナウイルスを予測

中国武漢の新型コロナウイルス(2019-nCoV)の感染者は着実に増加しており、最新の報告件数は少なくとも20,000人を超え、2003年のSARS流行時の犠牲者をはるかに超えています。

RNA Therapeuticsの先駆者であるModerna社とアメリカ国立衛生研究所(NIH)の支部である、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の共同研究を含め、複数の企業が既にワクチンの生産に取り組んでいると報告していますが、迅速なワクチン開発でさえも、患者数が急激に増えている大流行に追いつくには遅すぎるのかもしれません。

他の企業は、すでに存在する抗ウイルス薬をテストするという異なる角度からのアプローチを行っています。

製薬会社のギリアドサイエンスは、2019-nCoVの潜在的な治療薬として抗ウイルス薬候補のレムデシビルを評価するために設計されたランダム化比較試験で中国と提携すると述べました。

別の例では、武漢の41人の患者に対してHIV抗ウイルス薬のロピナビルとリトナビル(商品名カレトラ)の使用が試されています。

これらの薬剤の可能性はありますが、一部の研究者は人工知能 (AI) に目を向け、2019-nCoVに対してテストする潜在的な抗ウイルス薬を迅速に見つけています。

韓国のDeargen Inc社と檀国大学の研究者、および米国のエモリー大学の国際共同研究により、2019-nCoVに有効な抗ウイルス薬の予測モデルが公開されました。

この作業は、生物学のプレプリントサーバー、The bioRxiv  (https://www.biorxiv.org/) に「薬物と標的の相互作用の深層学習モデルを通じて、中国武漢の新規コロナウイルス(2019-nCoV)に作用する可能性のある市販の抗ウイルス薬を予測する」という記事で掲載されています。

「これは、純粋に科学的な好奇心からAIモデルが019-nCoVに対して、使用できる薬剤を提案できるかどうかを見たかったのです。」

と、檀国大学の助教授で論文の上級著者であるカン・クンス博士は述べました。

彼は当紙に対して、次のように説明しています。

「これは、既存の抗ウイルス薬を別のウイルスに塩湯する「薬物の再利用」というアプローチでした。市場で入手が可能な抗ウイルス薬のみがそのままの結果として提示されました。」

 

研究チームは、事前学習済みの深層学習ベースの薬物と標的の相互作用モデルである『Molecule Transformer-Drug Target Interaction(MT-DTI)』を使用して、2019-nCoVのウイルスタンパク質に作用する市販の薬物を特定しました。

MT-DTIは、薬物とタンパク質の親和性スコアを予測するために設計された、自己注意に重点を置いた深層学習モデルです。

 

その結果、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療と予防に使用される抗レトロウイルス薬であるアタザナビルが最も有望な化合物であることが示されました。

著者らは、このモデルが、アタザナビルが2019-nCoV 3C様プロテイナーゼに対して94.94 nMのKdで阻害効力を持ち、エファビレンツ(199.17 nM)、リトナビル(204.05 nM)、およびドルテグラビル(336.91 nM)がそれに続くことを示しました。

アタザナビルは、RNA依存RNAポリメラーゼ(Kd 21.83 nM)、ヘリカーゼ(Kd 25.92 nM)、3'-to-5 'エキソヌクレアーゼ(Kd 82.36 nM)、2'-O-リボースメチルトランスフェラーゼ(Kd 390 nM)、およびEndoRNAse(Kd 50.32 nM)に結合するウイルスの複数のコンポーネントに対する潜在的な結合親和性を持つと予測され、「2019-nCoV複製複合体のすべてのサブユニットは、アタザナビルによって同時に阻害される可能性がある」ということが示唆されています。

カン氏は、アタザナビルの高い抗ウイルス効果は「MT-DTIの結果から説明でき、ウイルスのプロテイナーゼに対する最高の阻害力を示している」と推測しました。

カン氏は、Deargen社のAIベースの予測が以前の研究をサポートしていることは驚くべきことだと述べています。

この研究グループは、2019-nCoVの流行を抑制するためのターゲットとしてプロテイナーゼを識別している唯一の研究グループではありません。

中国重慶にある陸軍医科大学の研究者は、「ハイスループットスクリーニングによる2019-nCoVメインプロテアーゼを標的とする治療薬」というタイトルの投稿をしています。

そこで彼らは、8,000種類の臨床薬剤ライブラリに基づくハイスループットスクリーニングを使用してSARS-CoVメインプロテアーゼに結合する4つの低分子薬を特定しました。

著者らは、これらの薬物は安全であることが証明されており、そのため、現在のウイルスの流行において展開する有望な候補薬となる可能性があると記しています。

さらに、カン氏と彼のチームは、カレトラ(前述のロピナビル/リトナビルの配合薬)などのいくつかの抗ウイルス剤が2019-nCoVの治療に使用できることを発見しました。

著者らは、2019-nCoVの効果的な治療戦略を確立する際に、MT-DTIモデルで特定された抗ウイルス薬のリストを考慮する必要があることを示唆しています。

 

カン氏は、まだDeargen社のパイプラインには抗ウイルス薬の開発がありませんが、2019-nCoV感染に対する抗ウイルス薬の開発が検討される可能性があることを示しています。

さらに、Deargen社は『分子イコライザー(MolEQ)』という名前の強化学習ベースの分子最適化/生成AIモデルを備えています。

したがって、開発に関して適応と標的が合意された場合、研究チームは、標的タンパク質に強く結合すると予測される候補として推定分子を生成できるとカン氏は述べています。

 

2019-nCoVの流行といったような状況での規制は不明確ですが、カン氏は、規制が緩和され、政府からの広範な支援があれば、臨床医が状況に応じてこれらの治療をより簡単に患者に処方するのに役立つのではないかと考えています。

アタザナビルやその他のトップランクの抗ウイルス薬を実験的治療オプションの拡大に使用できるようにすることは、2019-nCoVの流行の影響を受けている人々を支援する1つの方法かもしれません。

 

【以下のリンクより引用】

AI Predicts Coronavirus Vulnerable to HIV’s Atazanavir

GEN Genetic Engineering & Biotechhology News