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JapanRx / 1型糖尿病患者ではダパグリフロジン(Farxiga)とリラグルチド(Victoza)の併用がケトアシドーシス(Ketoacidosis) 発症の可能性

1型糖尿病患者ではダパグリフロジン(Farxiga)とリラグルチド(Victoza)の併用がケトアシドーシス(Ketoacidosis) 発症の可能性

ダパグリフロジン(Farxiga)、リラグルチド(Victoza)及びインスリンの3種類の薬剤を服用している1型糖尿病患者は症状の改善が見られますが、その利益はケトアシドーシス症のリスクを生じることが、新しい1組の発表された論文によって明らかにされました。
研究者たちは、すでにリラグルチドとインスリンで治療を行なっている1型糖尿病患者30人を対象にして調査しました。まず患者たちをナトリウム・グルコース共役輸送体 -2(SGLT-2)阻害薬であるダパグリフロジンまたはプラセボのいずれかを追加薬とするグループに無作為に分けて、12週間投与しました。ニューヨーク州 立大学バッファロー校のフッサム・ガニム博士とその同僚によると、ダパグリフロジン群ではHbA1c値が0.6%低下しましたがプラセボ群では変化は見られません。また週ごとのグルコース濃度は15mg/dL減少したとのことです。
しかしそこには重大な安全上の懸念があります。ダパグリフロジンを服用された2人の患者が、服用量を10mgに増加した後の日に糖尿病性ケトアシドーシスをかかりました。ガニム博士は、この2人の患者は試験から外して、内分泌学会の年次総会で報告しました。有効性研究に加えて、ガニム博士はケトアシドーシスに関する別 の研究結果を発表しました。
「血糖で更なる改善の必要性があります」とガニム博士は述べました。「1型糖尿病を持つ圧倒的に多数の患者が、HbA1c<7%という血糖目標ではないという事実から見て、治療に対する新しい取り組みは不可欠です」。
有効性試験
患者たちはリラグルチドの投与量に加えて、ダパグリフロジンまたはプラセボのいずれに2:1の割合で無作為に分けられました。まずダパグリフロジン5mgの投与量から始めて、1週間後に1日10mgに増量されました。患者たちは全員とも1型糖尿病を1年以上患って、最低でも7ヵ月リラグルチド1.8mgを使用していました。
リラグルチドは、グルカゴンと遊離脂肪酸を抑制し、またSGLT-2はグルカゴンを増加するため、著者たちはこれらの薬剤の併用は効果的であると期待しました、とガニム博士は説明しました。
患者たちはインスリン治療を受けて、それらの血漿中にC-ペプチドは検出されていません。平均体重は82.6キログラム(182ポンド)、平均HbA1cは 7.68、平均血糖値は163mg/dL、平均年齢54歳、そして糖尿病と診断された時点の平均年齢は29歳でした。患者のうち、女性は17人でした。また白人 でなかったのは僅か2人で、1人はアフリカ系アメリカ人、そしてもう1人はアジア人でした。基準値におけるグループ間の著しい差異は特に見られませんでした。
ガニム博士とその同僚は、治療グループと対照グループの間に、低血糖症には統計的差異がないことを発見しました。さらに二つのグループでの総インスリン投与量に違いはありませんでした。基本のイン スリン量がプラセボ群では1.9ユニット増加しましたが、ダパグリフロジン群では33.7ユニットから0.72減少しました。
その上に、プラセボ群では体重が減少しませんでしたが、これらの治療群の患者は僅かに体重が減りました(-1.9kg)。またダパグリフロジン群では総コレステロール及びLDLコレステロールがそれぞれ6%と8%上昇し、プラセボ群では11%と17%でした。
ガニム博士は、この研究は糖尿病協会から承認されて、近い将来に発表の計画があります、と語っていました。
ケトアシドーシス発症リスク
有効性試験と同様な患者で、1人の患者は正常血糖糖尿病性ケトアシドーシスを持つために試験から外しました。他の患者は高血糖性ケトアシドーシスを患いました。前者の患者は総インスリン量が33ユニットから26ユニットに減少して、もう1人は試験中に投与量に変更はありませんでした。しかしこの両者はダパグリフロジンの投与量を 10mgに増やしてすぐにケトアシドーシスが発症します。著者によると、これらの患者の動脈pHは<7.10でした。ダパグリフロジン群ではプラセボ 群と比較して、尿中ケトンアセトアセテート及びβ-ヒドロキシ酪酸がクレアチニン0.68µM/mgから1.28に明らかに上昇しました。さらに、ホルモ ン感受性リパーゼは29%上昇し、遊離脂肪酸は0.34から0.59に増えましたが、プラセボ群ではいずれも測定値に変化はありませんでした。
血清β-ヒドロキシ酪酸値はFFA濃度と関連しているとガニム博士が述べました。ケトアシドーシスを発症した2人の患者は再水和され、静脈インスリンでの治療をして、最終的に再びリラグルチドとインスリンによる治療を始めました。
総会の司会を兼ねるニューオリンズ州チューレーン大学のビビアン・フォンセカ博士は「医者たちは1型糖尿病患者の薬物療法に伴うリスクを理解することが重要です」とメッドページ・トゥデイに対して、語りました。
さらに、彼自身はアメリカ臨床内分泌学会(AACE)から、GLP-1受容体作動薬に対するケトアシドーシス患者の管理に関する今後の総意声明の共著者であること、と彼は付け加えました。
「それはとても包括的で、重要なトピックであり、かつその周囲には多くの間違った情報と困惑があります」と、彼は述べました。
ガニム博士は業界とは何の関係もないことを宣言しています。2人の共著者は、アストラゼネカとノボ・ノルディスクとの関連関係を宣言しています。

(記事元)
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ENDO/57155