英国で有望な研究結果が出たことで、デキサメタゾンの需要が急増

先週、英国で行われた研究により、一般的なステロイド薬であるデキサメタゾンが、呼吸補助を必要とする重症のCOVID-19患者の生存率を向上させることがわかりました。

Vizient社のデータによると、この報告から数日以内に、米国におけるデキサメタゾンの週ごとの需要は600%以上増加したといいます。
世界保健機関のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は英国で行われた試験の結果として同薬剤の需要が「急増」したと述べており、この数字は世界的な影響を反映しています。

デキサメタゾンは、COVID-19への有効性が示された2番目の薬剤となりました。
抗ウイルス薬のレムデシビルは、入院患者の退院を早める上でより効果があることが示されています。

デキサメタゾンに関する肯定的なデータを受け、このステロイド薬をCOVID-19患者に使用することが、英国政府により迅速に承認されました。

 米国では、保健社会福祉省のアレックス・アザール長官が金曜日、この薬物が治療ガイドラインに追加されたと述べ、アメリカ感染症学会は木曜日、医師は入院中のCOVID-19患者にこのステロイド薬を使用することを検討すべきだと発表しました。

最近の需要急増を考慮しても、専門家は、直ぐに薬剤が不足する懸念はないと述べています。

有望な結果が出たとはいえ、デキサメタゾンは、重度のCOVID-19を患い、人工呼吸器または酸素補助による呼吸補助が必要な患者に対する有効性のみが実証された段階です。
このステロイド治療は、症例の大半を占めるより軽度のCOVID-19患者には効果がありません。
デキサメタゾンはまた、COVID-19感染を予防する効果があることは示されていません。

実際、症状が軽度の患者への使用は、安全ではない可能性があります。
英国の研究では、デキサメタゾンは「軽度のCOVID-19患者に使用した場合、統計的に有意ではないものの、死亡率の上昇が見られた」と、サウスショアヘルス感染症科のディレクターを務めるトッド・エラリン博士は述べています。
より軽度のCOVID-19患者には、「薬のリスクが効果を上回る可能性が高い」と、同氏は警告しています。

重度の新型コロナウイルス患者においても、デキサメタゾンの使用に関する注意事項はいくつか存在します。

 ユタ大学の医薬品不足の専門家であるエリン・フォックス氏は、次のように述べています。
「多くの論文で、重病患者に対するステロイド治療の有益性及び有害性両方が示されているため、医師の多くはさらなる情報の発表を待つことを選択する可能性があります。」

Foxによると、2011年以降特定形態の注射用デキサメタゾンが不足しており、「場合によっては、希望する通りのサイズまたは用量の薬剤が得られない場合があった」といいます。

幸いなことに、英国の研究では静脈内注射及び経口のデキサメタゾン両方が使用されており、どちらも重症のCOVID-19患者の治療に使用することができます。

「デキサメタゾンは全ての病院で広く使用されています。」と、Foxは付け加えています。
「郊外の小さな病院でさえも、この薬の在庫を保有しています。」

 注射剤と経口デキサメタゾンの両方には複数のサプライヤーがいるため、ビジエント社ファーマシーソリューションのバイスプレジデントであるスティーブン・ルシオ氏は、「供給状況を管理できるようになることを期待している」と語りました。

とは言っても、この薬は依然として慎重に投与されるべきであるとエラリン氏は付け加え、「デキサメタゾンの買いだめを行わないように注意する必要があります。そうしないと、ほぼ確実に不足することとなります。」

この状況は、酸素濃縮装置の需要増加に対する懸念とは対照的です。
テドロス氏は、市場の80%がわずか数社によって管理されていることに言及しています。

アメリカの感染症学会のメンバーであるラジェッシュ・T・ガンジー博士は、感染曲線をなだらかにし、治療の必要量を減らすることが、おそらく重要な供給不足を防ぐ最も確実な方法であると指摘しました。

頻繁な手洗い、マスクの着用、ソーシャルディスタンスなど、「感染を防ぐ方法は既に知られています。」と、ガンジー氏は付け加えました。

出典 2020年6月27日更新 abc NEWS『Demand for dexamethasone soars after promising findings in UK』 (2020年6月29日に利用)
https://abcnews.go.com/Health/demand-dexamethasone-soars-promising-findings-uk/story?id=71476859