幼児期に微生物叢に曝されると大人になった時に結腸癌が抑えられるという研究

ジョージア州立大学が率いる研究によると、人生の初期段階における微生物叢、またはバクテリアなどの微生物への曝露は、成人してからの大腸癌の発症を抑制する腸内の最適条件を確立する上で重要な役割を果たすそうです。

研究チームは、マウスによる研究で子宮内および生後数週間のうちに微生物叢にさらされることが、後年のマウスの大腸炎関連癌の発症にどのように寄与したかを調査しました。
これまでのところ、出生前および出生後早期での微生物への曝露が成人の健康および疾患の結果に及ぼす影響というのは、比較的限られた研究でしか行われていません。

この調査結果はJournal of Cancer Immunology Research誌に掲載されています。
同研究の主執筆者であり、アメリカジョージア州にあるInstitute for Biomedical Sciencesの教授であるティム・デニング博士は、次のように述べています。
「我々の結論では若年期の微生物叢は、マウスの結腸癌の発症を抑制するのに有効とみられる適切な免疫応答を調節するのに役立ちます。」
「人生の早い段階で微生物相を変えたか、その時期に微生物叢が存在しなかった場合は、それが結腸癌およびおそらく他の癌の発症の素因となる可能性があります。」
「微生物叢が癌や他の病気の発症に重要な役割を果たすことができることはかなり以前から認識されています。しかし、これらの研究の大部分は成人を対象としています。我々の調査結果は、微生物叢および微生物叢代謝物への暴露の重要な時期は、実際には人生の非常に早い時期にあるかもしれないことを示しています。 子宮内であろうと出生後であろうと、発達中に、微生物叢の寄与が非常に影響を及ぼし得るほど多くの変化が起こっているので、これは理にかなっていると我々は考えます。それがこの発見の目新しさです。」

腸内細菌叢が宿主における正常な身体機能および安定した免疫系を促進するのに役立つことが研究により示されていますが、子宮内または新生児における微生物叢の研究が困難であるため、研究は成体マウスおよび成人において行われています。
人間とマウスは、出生時に産道を通る、または帝王切開で生まれることによって、最初に微生物叢にさらされます。
母親は、胎児の発育に影響を及ぼしうる代謝物と呼ばれる化合物を産生する微生物叢を持っています。

この研究において、研究者達はこの初期の微生物叢が成人期の病気に影響を及ぼし得るかどうかを調べました。
研究ではマウスを用いて2つのグループを比較しました。
最初のグループは、無菌の母親から生まれ、離乳するまで無菌条件下(母親からの細菌や子宮外の環境への曝露はなし)で飼育されたマウスでした。
その後、それらを通常の状態に移し、通常の微生物叢にさらしました。  
2番目のグループは正常な母親から生まれたマウスで、その後、通常の条件下の微生物叢で繁殖しました。

6週齢の時に、全てのマウスに結腸癌を誘発しました。
「著しい違いが見つかりました。」とデニング博士は言います。 
「無菌マウスの結腸には、はるかに大きくさらに多くの腫瘍がありました。」
この研究では、幼少期に微生物叢が存在しないことが炎症誘発性遺伝子発現の増強と、「骨髄由来サプレッサー細胞」と呼ばれる免疫細胞の蓄積をもたらすことを見出しました。

これらの細胞は、腫瘍を制限または死滅させることに役立つ可能性がある他の免疫細胞を抑制します。
「腫瘍が発生し始めたら、免疫系にそれを異常と認識させ、それを止めさせようとしています。」とデニング博士は述べました。
「それが完璧に機能すれば、腫瘍を死滅させることができます。しかし、腫瘍はそれら自身の利益のためにそれら免疫細胞のいくつかを侵略し始めることが可能で、その1つの重要な例が「骨髄由来サプレッサー細胞」なのです。

これは、腫瘍をより大きく成長させ、より多くの腫瘍を成長させることを可能にする免疫細胞であり、初期の段階で微生物叢が存在しないことによる結果の1つです。
「骨髄由来のサプレッサー細胞」を動員し、元の胚のないマウスの腫瘍の大きさと数の増加を完全に元に戻すことができました。」
人間は無菌ではありませんが、これらの結果は、母親や赤ちゃんの微生物叢の構成が、後の人生で多くの炎症性遺伝子や癌などの疾患に対する感受性をどのように制御するかについての洞察を提供する可能性があります。
微生物叢や他の要因が人生のごく初期の段階でどのように影響を与えるかをよりよく理解することは、特定の経路を操作するなどの解決策につながる可能性があります。

【以下のウェブサイトより引用】