ラパマイシンはケラチノサイト(角化細胞)のエピジェネティックな老化を遅らせる

加齢現象を止めたり遅らせることは、人間が何千年もの間思い描いてきた魅力的な概念です。
私たちの身体を若返らせたり、老化を遅らせることがたとえ可能であったとしても、これはどのようにして測定したら良いのでしょうか?

私たちの知る限り、年齢は身体の生物学的変化に関係なく、純粋に時間の経過に基づいているため、明らかに不適切な測定方法です。
この課題に、有望な解決策が見えてきました。
2013年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSteve Horvath氏は、メチル化と呼ばれるDNAの化学修飾が驚くべき数学的制度で年齢とともに変化するということを実証したのです。
これらのメチル化プロファイルを用いて、彼は非常に正確な年齢予測アルゴリズムを導き出しました。
これは、生物学に基づいて年齢を測定するための時間に依存しない基準となる可能性があります。

2018年Horvath氏は、英国公衆衛生庁のKen Rajと共同で、体内の細胞だけでなく培養細胞にも適用可能なSkin and Blood Clock(肌と血の時計)と呼ばれる改良版アルゴリズムを生み出しました。
Raj氏とHorvath氏は、このエピジェネティックな時計を使用することによって、数多くの種類の生物において確認されているラパマイシンの加齢遅延作用が、人間の細胞にも及ぶことを実証しています。

Raj氏の研究チームは、「ラパマイシンの延命特性は、細胞老化やエピジェネティックな老化の抑制といった、複数の作用の結果である可能性があります。」と結論付けています。

その為ラパマイシンは、1つではなく2つの独立した老化経路を抑制する顕著な能力を有するように思われます。
1個買ったら1個おまけが付いてくる手法は小売業では一般的ですが、生物学においては非常に稀なことです。
小売業と同じように、こうした甘い話には落とし穴があります。
ラパマイシンの効果は、他の種類の細胞においては、未だ広くテストされていないことに注意することが大切です。
このような注意事項はあるものの、この有望研究結果、そしてRaj氏とHorvath氏によって実証されたツールや方法は、人間の健康的な加齢を促進する可能性のあるより良い化合物に関する研究を促進するものとなりました。

出典: 2019年6月5日更新 Medical Press 『Rapamycin retards epigenetic ageing of keratinocytes』(2019年6月24日に利用)
https://medicalxpress.com/news/2019-06-rapamycin-retards-epigenetic-ageing-keratinocytes.html