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JapanRx / ドルテグラビルでの治療の利点は、あらゆるリスクを上回る

ドルテグラビルでの治療の利点は、あらゆるリスクを上回る

サハラ以南のアフリカでHIVと共に生きるすべての成人に、ドルテグラビル、テノホビルおよびラミブジンのいわゆる抗レトロウイルス療法を提供することは、ウイルスの抑制または子供を持つ予定の有無にかかわらず、妊娠出産の可能性のある女性やウイルス量が抑制れている人における療法の使用を制限する政策よりも健康悪化を防ぐことができるだろうと、『The Lancet HIV』に発表されたモデル研究が示しています。

インテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルをベースとした抗レトロウイルス治療は、低所得国および中所得国におけるすべての成人の第一選択治療薬として好ましい選択肢として、WHO世界保健機関によって推奨されています。
この薬には副作用が少なく、非常に強力であり、ウイルス量が回復した場合に耐性変異の発生に対する高いバリア効果があるため推奨されています。

ドルテグラビルが推奨されるもう1つの重要な理由は、医薬品パテントプールと医薬品の開発者であるヴィーブヘルスケア株式会社の間のライセンス契約に基づき多くの低所得国でこの医薬品が低コストでの一般薬として入手できることです。 

医薬品パテントプールは、抗レトロウイルス製品のジェネリック薬製造業者数社に対して、テノホビルDFとラミブジンの固定用量配合錠剤を目的として、ドルテグラビルを認可しています。 2017年9月、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、インドの2つの製造業者オーロビンドファーマ社とマイランラボラトリーズ社にドルテグラビル、テノホビル、ラミブジンの配合薬を、年間75ドルの費用で保健省や流通業者に販売することを発表しました。 この配合薬は92カ国においてこの価格での利用が可能です。 サハラ以南のアフリカの多くの国では、ドルテグラビルとラミブジンを一般的な第一選択療法薬として導入する計画を立てており、治療の実施を簡素化しています。
しかし、ドルテグラビルの勧告と手頃な価格への改善にもかかわらず、いくつかの国では薬を利用可能にするための最善の治療法についてまだ不確実なものとなっています。 


第一選択治療薬としてドルテグラビルの一般使用に対する潜在的な障壁

第一選択治療におけるドルテグラビルの使用に関しては、2つの懸念が生じています。
1つ目は、妊娠中または妊娠初期にドルテグラビルが投与された場合、新生児に発生する神経管欠損症のリスクに関するものです。
ボツワナでの研究では、他の抗レトロウイルス療法(ART療法)と比較して、受胎時にドルテグラビルを服用していた母親から出生した乳児での神経管欠損で有意に高い確率となることが検出されました。
全体の数が少なかったため、研究者らは安全性についてはを監視し続けると述べています。
その安全性が発表されて以来、世界保健機関は、ドルテグラビルベースのARTを導入している国において、出産の可能性のあるすべての女性に対して、確実性のある避妊方法を利用できるようにすべきであると勧告しました。
それが無理な場合は該当する女性はエファビレンツに基づく代替療法を受けるべきです。 しかし、いくつかのアフリカ諸国は対策をさらに進めており、避妊薬の有無にかかわらず、当面の間、出産可能年齢の女性はエファビレンツに基づく治療法での治療が開始されています。 

2つ目の懸念は、ウイルス負荷テストが行​​われていないときにドルテグラビルに切り替えることです。
世界保健機関は、ウイルス量が1000コピー/ ml以下の場合、すでに別の第一選択療法を受けている人には、ドルテグラビル、テノホビル、ラミブジンの配合薬にに切り替えることを推奨しています。
しかしながら、レジメンが失敗し、そして患者個人がより高いウイルス量を有する場合、ラミブジンおよびテノホビルに対する耐性が存在する可能性があり、ドルテグラビルベースのレジメンの抗ウイルス効力を弱めることが予想されます。 新しいレジメンでウイルス量を抑制できず、テノホビルとラミブジンに対する耐性があるために投与を抑制し続けると、ドルテグラビルに対する耐性も高まる可能性があります。 二次治療でドルテグラビルを使用するという選択肢を除いてしまうと、代わりにもっと高価なプロテアーゼ阻害剤の使用が必要となるでしょう。  

ドルテグラビル導入のための選択薬のモデル化

一般的な第一線レジメンとしてドルテグラビルを導入すること 、または特定のグループの人々にその使用を制限することで潜在的なトレードオフを検討することでロンドン大学のアンドリュー・フィリップス教授が率いる国際的な研究者グループは既存のHIV合成モデルを使用しました。

このモデルは、5つの戦略のについてのリスクと利点を評価しました。 

  • すべての人にテノホビル、ラミブジンおよびエファビレンツ配合薬
  • すべての人にテノホビル、ラミブジン、ドルテグラビル配合薬
  • 子供を持つ予定のある女性を除くすべての人にテノホビル、ラミブジンおよびドルテグラビル配合薬
  • ウイルス量が1000コピー/ mlを超える第一選択療法からの切り替えを予定している人を除くすべての人にテノホビル、ラミブジン、ドルテグラビル配合薬
  • 子供を持つ予定のある女性、およびウイルス量が1000コピー/ mlを超える第一選択療法からの切り替えを予定している人を除くすべての人へテノホビル、ラミブジン、ドルテグラビル配合薬

このモデルにおいては、15〜55歳の女性のうち子供を持つ意思がある女性は16%しかおらず、ドルテグラビルはエファビレンツの1.5倍効力があり、ドルテグラビルに対する耐性はエファビレンツより13倍低い速度で発現するということが想定されました。
ドルテグラビルに対する神経毒性は、エファビレンツを服用している人の半分の割合で発生します。  

主な調査結果
既存の第一選択レジメンで1000コピー/ mlを超えるウイルス量を有する人々および子供を産むことを意図している女性がドルテグラビルでの治療から除外された場合、HIVに感染している成人の43%だけです。
出産を視野に入れている女性だけがドルテグラビル治療から除外された場合では、54%が投薬を受けます。
20年以上にわたる最も制限的なドルテグラビル処方ガイドラインは、普遍的なドルテグラビルの政策よりも1000コピー/ ml以下でウイルス量が4%減少するでしょう。
しかし普遍的なARTを受けた人々の死亡率はほぼ2倍になります(100人年当たり1.25人の死亡率対100人年当たり0.72人の死亡率)。
不利な出生転帰を見ると、このモデルは、普遍的なドルテグラビル処方の方針下では、出生の0.6%で神経管の欠損が起こることを発見しました。
しかし、ドルテグラビルのより高い効力およびより良好なウイルス抑制のために、母子感染率は、すべての制限が適用された場合よりも一般的なドルテグラビルの政策の下でより低くなります(2.8% 対 3.9%)。

第一選択の切り替えを1000コピー/ ml以下のウイルス量を持つものに限定するという方針の理論的根拠であるドルテグラビル耐性の発現を見ると、このモデリングでは一般政策の下で20年間で6.7%の人々がドルテグラビル耐性を持つことが示されいました。
比較として、4.4%は第一選択薬を制限するという方針の下で抵抗が発現するでしょう。

1000万人規模の国では、すべてのドルテグラビルレジメンは、年間500万ドルから1000万ドルが節約され、その最大のものは一般的なドルテグラビルレジメンに関連しています。
この方針は、1000コピー/ ml以下のウイルス量を持つ人々限ると、テノホビル、ラミブジン、ドルテグラビルとの比較で44ドルの増分費用対効果比を示しました。  
研究者らは、この調査結果はドルテグラビルの使用に関する国家政策の策定のための情報となること、そしてこの分析で特定されたリスクと利益に関するHIVと共に生きる人々の見解も、国家政策の策定プロセスの一部として求めるべきであると述べています。

【以下のウェブサイトより引用】
http://www.aidsodging/Benefits-of-dolutegravir-t treatment-for-all-substantially-outweigh-the-risks/page/3405723/